新入生の皆さんへ

OB/OGからのエール


「青春時代が夢なんて・・・」

瓶井 資弘(かめい もとひろ・スナイプ級/1985年医学部卒)

今(2013年5月)、アメリカ・シアトルへ学会のため来ています。 ちょっと神戸に似たこの街で、良い天気の下、青い海&青い空を見ていて、「そうだ!ヨット部HPの原稿を書かなきゃ!」と思い出し、この文章を書いています。

さて表題は、今は昔のいわゆる高度経済成長期に流行った『青春時代』(歌っていたのは森田光一とトップギャラン;興味のある方はYouTubeで聴いてください)のサビの部分にある「青春時代が夢なんて、あとからほのぼの思うもの・・・」のことです。 そう、今思えばこの歌詞のように、大学時代は僕にとっては夢のような幸せな時期でした。 これを読んでいる君は「今、けっこう楽しいですよ」と思っているかもしれないけど、そんな程度じゃなくて、「眩しく、甘酸っぱく」思い出される本当に贅沢な時間、キラキラ輝いている季節なんだ。 そして、僕にとってその時の思い出のほとんど全てで、ヨットとヨット部の仲間達のことしか出てこないのです。ヨット部でのレースも、遊びも、遠征も、寒くてつらい春合宿も、先輩同僚後輩も、何もかも(今となっては夢のように)楽しかったとしか言えません。でも、「だったら、若返らることができればもう一度やってみるか?」と言われると、きっと「う~ん、いいわ」と断るでしょう。その理由は、本当に全てをヨットに注ぎ込み、もうあれ以上燃焼できることに出会うことも、楽しい夢を見ることもできないだろうからです。 「楽しかったなぁ、でももう一度やれと言われたら、もういいわ」と言えるぐらいの時間を積み重ねていけば、幸せに死ねるのではないかと僕は思っていたし、それを自分なりに実行しながら今まで生きてきました。 

そして現在も、今年に入ってからハイデラバード(インド)、福岡、熊本、コロラド(米国)、大阪、東京、南京(中国)、そしてシアトルと、学会・講演に飛び回り、その合間にオペ(手術)をガンガンやって、まあ超忙しいけど楽しんでいます。 これも、ヨット部で完全燃焼することを覚えたことが生きています(しかも医者に必要な体力も身に付けることができました)。 そう、阪大ヨット部は青春時代をすべて注ぎ込むに値する、「自由であり、勝利の美酒にも酔える」数少ないクラブです。 今これを読んでいる阪大の新入生のみんな、君は夢の切符を拾った本当にラッキーな人です! 

さあ、その切符を握って、ヨット部に飛び込んで下さい。 絶対に後悔することはないと僕が保証します。

(現職:大阪大学医学部眼科学教室病院教授)


 

「新入生の皆さんへ」

 

カメロン華子 (スナイプ級/1987年文学部卒)

 

「青い空と白い雲、お日さまがサンサンと照っていて、春風が気持ちいい日曜日の午後」―私とヨットとの初めての出会い―ヨットを始めたきっかけはこんな軽い感じだったでしょうか。それにヨットは自分で走ったり、ボールを奪い合ったりしなくていいし、なんてこともあったりして。でも、クラブを始めてみてだんだん分かってきたことは、ヨットレースは体力や帆走技術の他に、戦略・タクティクスが勝敗を決める、言ってみれば頭脳ゲームだということです。阪大生の皆さんにはもってこいのスポーツなんじゃないかなぁと思います(私の場合、短距離走やマラソンなどは、やる前からもう諦めてましたし)。- Unless you give up, there is always a chance.

 

学生ヨットレースは男女混合で、女子だといってハンディキャップは無く、体が小さかろうが、体力が劣ろうが、負けは負け。入部したときに活躍されていた先輩女子も卒業され、いつのまにか一人ぼっちになり(涙)、最終学年になるまでレギュラーになれませんでした。今とは違い、女子クルーでレギュラーになるのはとても難しかった時代です。こんなちょっと寂しい経験もありましたが、それはそれでよかった

他大学の女子選手とチームを組んで、国体の女子競技に3年間連続出場できるというチャンスを手にすることができたから。-All is fish that comes to net.

私は子供っぽい方だったのですが、今から思えば先輩方や特に同期の方々に、ほんとに温かく迎えてもらったと思っています。親友とか生涯の友というのとはまたちょっと違いますが、今でもクラブの「同期」に会うとすぐ昔に戻ってしまいます。- We belong to each other.

卒業後はディンギー・セーリングの世界から離れてしまい、何十年も経ちましたが、最近再開しました。厳しかった練習のおかげで、セーリングがハードワイヤードして(体が覚えて)いたようです。子供がまだ小さいので一緒に二人乗りでレースに出たり、トレーニングに連れて行ったり、また今年は自分用の「Laser Radial」ヨットもやっと手に入れ、ますますやる気が出てきたところです。- Sailing is a sport that can be enjoyed a lifetime.

 

「大人になってから何十年も経ちますが、若い頃すっごく楽しかったことは何ですかって聞かれたら、やっぱりヨット部でヨットしていたこと。これはぜったいベスト5に入ると思います。」

 

このエールのお手紙を(将来の)女子部員の皆さんへ、スコットランドから送ります。

近況:ネス湖で有名なハイランドの首都インバネスに近い、海辺のリゾート地ローズマーキーにて、夫とともにCameron Highland Resort UKを設立、経営しています。


 

新入生の皆さんへ

 

野崎哲太郎(スナイプ級/2009年人間科学部卒)

 

「大学から始めても全国大会を狙える。」

私がヨット部に興味を持ったのは、先輩のそんなひとことからでした。そして試乗会に行って部の雰囲気の良さを実感し、入部を決めました。

 

でも、最初は辛かった。当然ながら何も知らない人間がレースに出られるほど甘くなく、また練習では先輩と乗っても上手くできず怒られてばかり。1年目は辛い事ばかりでした。代が替って新チームになってレースに出だしても結果が出ない。クラブを辞めようと思ったこともありましたが、我慢して続けました。すると、1年ぐらいして段々とヨットの事が分かるようになり、レースで良い順位を取れるようになってきて、やっとヨットが面白くなってきました。そしてヨット経験者の他大の主力選手と競えるようになってくると、やればできるという自信に繋がり、もっと上手くなりたい、もっと速くなりたいと向上心が芽生えてきました。

 

ヨットは人だけでなく自然を相手にするスポーツ。刻々と変わる環境を整理し頭を使い状況に対応していきます。体力だけではないのです。だから男女がハンデもなく一緒に競い合う。そして大学から始めても経験者相手に勝負できる。こんなスポーツは他にはなかなかありません。

 

私は卒業後、商社(伊藤忠商事)に入社し、現在は研修生としてアメリカで仕事をしています。慣れない英語に悪戦苦闘しつつも日々を楽しんでいます。商社は自分たちで存在意義/価値を見つけなければ不要と見なされる立場にあります。当然ながら仕事は厳しくよく怒られ、辛い事も多いです。ただ、ヨットで経験した辛さや頭を使って状況を判断し打開していくという経験はこの仕事でも生きています。私はミスばかりですがそのミスをどうやって次に生かすか、どう無くしていくかという作業はまさにヨットで培ったものだと思います。

 

結局私のいた4年間、先輩の言葉通りヨット部はスナイプ級というクラスは全ての代で全国大会に出場しました。4年生の頃はもう1つの470級というクラスも予選を突破し両クラスでの出場を達成しました。全国という舞台はとても楽しいです。是非皆さんも経験してほしい。ただ、大事なのは全国に出ることではありません。勿論全国には出てほしい。でももっと大切なのは自分たちが速くなる為に、強くなる為に何が足りないのか、補う為にどういう練習をするのか、どれぐらいの時間軸で達成していくのかといった事を考え実行していく事です。きっとそういった経験が社会で、世界で生きていくと思います。

ヨット部での4年間、とても濃かった。とても充実してた。

 

是非ヨット部での生活を通して一回りも二回りも大きくなってください。

そして何より、ヨットを楽しんでください。

 

Los Angelesにて