0.1ノット

 

 恋という言葉の意味をようやく理解し始めた18歳の冬、窓の外にはまだ薄い雲が居場所を求めて漂っていた。春にはあの雲も新入生を迎える春霞となるのだろうか。この冬の挑戦者達にとっては、サクラ咲くか否か、審判の下る時期でもある。下る最後のその時まで大切な人と同じ時を過ごす事の意義に気付くのが僕は遅かった。今では冬の一瞬の想い出や追憶も、胸の中の宝箱にそっと息を潜めている。そういえば桜の花びらは秒速5センチメートルの速さで落ちていくのだという。どれほどの早さで生きれば、因果の交差路で運命にまた巡り合う事ができるのか。

 Здравствуйте.山岡です。5単位分のテストが明日に控えているというのに文章を書いていると、どうしてか侘しくなってしまうものですね。僕にはまだ人生と言う茫漠とした時間が横たわっているのに、いえだからこそ、この一瞬の切なさと哀しさに心打たれてしまうのでしょうか。学生という時間は人生の中でも本当に価値ある時間で、それだけにその時間を何に使うかというのは大切だと思います。そう考えるとクラブと言うのは本当に良い制度ですね。世界共通の言語に芸術、学問、スポーツとありますが、その全てが大学には揃っているような気がします。僕はとても欲張りなので、その全てを網羅しようと考えているのかもしれません。クラブのオフ期間中はほとんどヨットからは離れていました。偶に家の中で陸練もどきをしたりはしましたが、ちょっと今は海が恋しいです。今年は春の訪れもどうやら近そうで、冬好きな僕は少し寂しいですが、ヨット部員としては嬉しい限りです。

 継続は力なり、とよく言いますが、僕から言うと力とは継続する(努力し続ける)事です。作品制作、勉学、クラブ。何にしてもやり続ける事が最も重要です。小説を書いてもう6年目になりますが、一度として社会的に認められた事はありません。けどやり続ける。もちろん好きと言う事もあるけれど、そこには確かな芯があるから。そうすればどこかまだ見えないそのゴールに辿り着く事ができる。他の分野で僕はそれを確信しました。受験生にとって今はとても苦しい時期かもしれません。それでも必ずやり続ける事。その速さはどうだっていい。桜の花びらも秒速5センチメートル──およそ0.1ノットの速さで進んでいくのです。君は君のスピードで君のゴールに辿り着いて下さい。

 

寒空の下、アイスを片手に 山岡 悠

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    Kandra Holliman (月曜日, 23 1月 2017 00:58)


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